●はじめに
近年、住宅の健康環境に関する問題が注目されています。
とくに、シックハウス症候群という概念が広く認識されるようになり、その対策についての関心が高まっています。
今回は、シックハウス症候群の原因や症状、そして効果的な対策についてご紹介していこうと思います。
●シックハウス症候群とは?
シックハウス症候群は、特定の建物や住宅で生活することによって引き起こされる健康上の問題を指します。
この症候群は、建物内に存在する化学物質や微粒子、揮発性有機化合物などの有害物質によって引き起こされると考えられています。
●シックハウス症候群の原因
常温で揮発する有機化合物は、だいたいが、複数の成分があわさったものになっています。
一般的なものには、接着剤に含まれる成分(ホルムアルデヒド)や塗料の溶剤(トルエン、キシレン)、さらに防虫剤(パラジクロロベンゼン)などがあります。
近年、住宅の建材や家具などから放散される化学物質が原因で、体調不良が報告されています。
閉鎖された室内空間での換気不足は、有害物質や微粒子の濃度を高めることがあります。
とくに、近年の高気密住宅の増加やエアコンの過剰使用により、換気不足が生じることがあります。
また、安価な建材や家具には、有害物質を含むものがあり、これらが室内環境に有害な影響をおよぼす可能性があります。
とくに、新築やリフォーム時に使用される建材や家具には注意が必要です。
これらの環境が、シックハウス症候群を起こしやすくする原因となっているわけです。
●シックハウス症候群の症状
シックハウス症候群の症状は、個人差があるものの以下のようなものがあげられます。
・せき、鼻水、涙がでる
・目がかゆく、チカチカする感じがある
・鼻や喉がカサカサして刺激を感じることがある
・頭が痛くなったり、めまいがすることがある
・皮膚が乾燥して赤くなり、かゆみがある
ほかにも、疲れや眠気がよくやってくるなどの症状を訴える方もいます。
先にもいったように、症状には個人差があるので必ずしも全員この症状がでるわけではありません。
また、どんな体質の人に起こりやすいかなども解明されていないのが現状です。
●シックハウス症候群と化学物質過敏症の違い
シックハウス症候群と化学物質過敏症は、両方とも特定の化学物質に関連した健康問題ですが、その原因や症状、影響の範囲などに違いがあります。
シックハウス症候群は、特定の建物にいるときだけ体調が悪化する症状のことです。
原因となる環境から離れることで症状に改善がみられるのが特徴です。
対して化学物質過敏症は、特定の化学物質から離れても症状が続いたりします。
化学物質過敏症になると、原因の化学物質が低濃度だったとしても身体が反応して症状が現れます。
●シックハウス症候群を防ぐ方法
シックハウス症候群を防ぐことはできないのでしょうか?
対策をすれば、防ぐことは決して不可能ではありません。
それではどんな対策方法があるのかを以下でご説明します
1.建築するときにできること
平成15年7月に建築基準法が改正されました。
この改正により、建材や換気設備、シロアリ駆除剤などが規制され、室内空気中の化学物質の濃度が改善されています。
建材の素材などに、ホルムアルデヒドの放散量が星マークで表示され、星マークが多いほど放散量が少ないことを示します。
星マークに意識を向け、放散量の少ない建材を選ぶようにするといいでしょう。
また、設計時の間取りに気を付けることも大切です。
窓の場所を、風通しのよい換気に適した場所にすることで、風通しがよく化学物質がたまりにくい部屋にすることができます。
いい配置として、直線方向に向き合うよう窓を配置することで、とくに空気が通りやすくなります。
なるべく空気の通り道ができる窓の配置になるようにするといいでしょう。
2.家具をえらぶときにできること
家具を新しくしたいとき、ちょっとしたことでシックハウス症候群を防ぐことができます。
値段をみて家具を選ぶのもいいですが、まずはそのにおいをかいでみてください。
ちょっとでも刺激臭のあるものは、化学物質が多く使われていることがあります。
店舗のような広い場所だと、空気の流れもありそこまで強く刺激を感じないかもしれません。
ですが、たいていのご家庭は店舗よりせまいことが多いです。
いざ部屋に配置したとき、より化学物質の影響がでると考えられます。
なるべく刺激臭を感じにくい家具選びをするといいでしょう。
3.こんなことでも防げます!
空気清浄機を取り入れてみるのもひとつの方法です。
最近の空気清浄機は、機能が充実しているものが多いです。
ホコリだけではなく、PM2.5やにおい、また菌なども除去することができるものもあります。
これらの物質がシックハウス症候群の原因になっている人には非常に効果的です。
ただひとつ注意点があります。
ホルムアルデヒドのような気体状のものが原因の場合は、空気清浄機では対応できないので別の方法を考える必要があります。
そんな場合の方法もあります。
それが吸着剤です。
現在、市販品として化学物質を吸着してくれる製品が複数あります。
こちらを使い、原因となる化学物質の対策をするのもひとつの手かもしれません。
ただこちらにも注意点があります。
現時点で評価基準が確立されていないことです。
なかにはその有用性に疑問が残る製品もあるので、信頼しすぎないようにすることも必要かもしれません。
●さいごに
ックハウス症候群は現代社会における重要な健康上の問題であり、その対策は我々の生活の質を向上させる重要な一歩となります。
現在、さまざまな方法でシックハウス症候群を防ぐことができます。
住宅環境の改善は、私たちの健康と快適さに直結し、今後もその重要性はますます高まることでしょう。
みなさんも日々の生活の中で、健康と快適さを大切にする住環境を整える努力を続けていきましょう。