●はじめに
「色を変えただけなのに、こんなに印象が変わるなんて…」
壁や家具、小物など、塗装によって空間の印象は驚くほど変化します。
ただし、色の選び方によっては、思っていた仕上がりと違ってしまうこともあります。
色選びに迷った経験のある方も多いのではないでしょうか。
今回は、塗装に役立つ色選びの基本とコツをご紹介します。
色に関する知識を少し持っておくと、仕上がりの満足度がぐんと高まります。
はじめての方でも取り入れやすい内容になっていますので、ぜひ参考にしてみてください!
●色の基本をおさえよう:色相・明度・彩度
色を選ぶうえでまず知っておきたいのが、「色の三属性」と呼ばれる要素です。
それぞれの性質を理解しておくと、印象をコントロールしやすくなります。
▶ 色相(しきそう)
色相とは、赤・青・黄など、色の種類を指します。
色相環という円形の図を使って整理されることが多く、隣り合う色同士は似た雰囲気に、反対に位置する色同士は対照的な関係になります。
▶ 明度(めいど)
明度は色の「明るさ」を表します。
白に近づくほど明るく、黒に近づくほど暗い印象になります。
たとえば同じ青でも、ライトブルーとネイビーでは印象が大きく異なります。
▶ 彩度(さいど)
彩度は色の「鮮やかさ」を示すものです。
彩度が高いとビビッドで目を引く印象に、低いと落ち着いた印象になります。
近年人気のくすみカラーは、この彩度が低い色にあたります。
これらの属性を意識して色を選ぶことで、感覚だけに頼らず、狙いに沿った配色がしやすくなります。
●配色のコツ:バランスの良い組み合わせ方
色を1色だけで使うことはあまり多くなく、複数の色を組み合わせるケースがほとんどです。
そこで重要になるのが、配色のパターンです。
以下のような組み合わせ方を知っておくと、色の調和がとりやすくなります。
▶ 類似色相配色
色相環で隣り合う色を組み合わせる方法です。
例としては、緑・黄緑・黄色などが挙げられます。
全体にまとまり感が出やすく、落ち着いた雰囲気をつくるのに向いています。
▶ 補色配色
色相環で反対に位置する色を組み合わせる方法です。
赤と緑、青とオレンジなど、強いコントラストが生まれます。
アクセントとして一部に取り入れると、印象的な仕上がりになります。
▶ トライアド配色
色相環上で等間隔に配置された3色を使う方法で、たとえば赤・青・黄などがその一例です。多色でもバランスがとれやすく、活気のある印象を与えたい場面に適しています。
こうした配色のルールは、実際に色相環を見ながら考えると理解しやすくなります。
配色に自信がない場合は、ルールに沿って選んでみるのも良い方法です。
●シーン別・塗装での色の選び方
色の知識を活かして、具体的な塗装シーンでどのように色を選ぶべきかを見ていきましょう。
▶ 室内の壁や天井
部屋の印象を左右する重要な要素です。
くつろぎたい空間には、明るめで彩度の低い色(アイボリーやグレージュなど)が適しています。
広く見せたい場合にも有効です。
一方、集中したい書斎やワークスペースには、青や緑などの寒色系を低明度で取り入れると、気持ちを引き締める効果が期待できます。
▶ 外壁や外構
外壁では、周囲の環境や日光、汚れの目立ちにくさも考慮したいところです。
極端に明るい色や暗い色は汚れが目立ちやすいため、やや中間のトーン(たとえば、淡いグレーやブラウン系)がおすすめです。
▶ 家具や小物
比較的気軽に色で遊びやすいのが、家具や小物類です。
ベースカラーが落ち着いている空間に、アクセントカラーを一点取り入れると、個性的で印象的な仕上がりになります。
●色が与える心理的な効果も取り入れる
色には、それぞれ人の感情や行動に影響を与える心理的な側面があります。
これをうまく活用することで、目的に合った空間づくりがしやすくなります。
・赤■:エネルギッシュ、活気が出る(食卓やダイニングに)
・青■:冷静、集中、信頼感(仕事部屋や勉強部屋に)
・緑■:安心感、調和、リラックス(リビングや寝室に)
・黄色■:明るさ、前向き、注意をひく(子ども部屋や玄関に)
用途に応じてこうした効果を意識すると、より機能的で心地よい空間を演出できます。
●配色に悩んだときの便利なツール
色の組み合わせに迷ったときは、配色をサポートしてくれるオンラインツールを活用してみましょう。
1. NIPPON COLORS
(https://nipponcolors.com/)
日本の伝統色を集めた配色ツールです。
四季や文化に根ざした美しい色彩が特徴で、和風のデザインや落ち着いた雰囲気を演出したいときに最適です。
各色には名前とカラーコードが表示されており、簡単にコピーして使用できます。
2. 配色パターン見本40選:ベストな色の組み合わせを探せるツール
(https://saruwakakun.com/design/gallery/palette)
「親近感」「元気」「クール」など、イメージやテーマから配色パターンを選べるサイトです。
40種類の配色見本が用意されており、初心者でも感覚的に使いやすいのが魅力です。
3. Selecolor
(https://www.selecolor.com/color-scheme-generator/)
任意のカラーコードを入力することで、補色や類似色などの配色パターンを自動生成してくれるツールです。
配色のバリエーションを手軽に試すことができ、デザインの幅が広がります。
4. 画像からのカラーパレット
(https://colorpalette.imageonline.co/jp/)
画像をアップロードするだけで、主要な色を抽出し、カラーパレットを生成してくれるツールです。
写真やイラストからインスピレーションを得たいときに便利です。
これらのツールは初心者でも扱いやすく、プロの現場でも使われているものばかりです。
色選びの参考に、ぜひチェックしてみてください。
●さいごに
塗装における色選びは、感覚だけでなく基本的なルールや心理効果を知ることで、より狙い通りの仕上がりを実現しやすくなります。
色の三属性を理解し、配色の基本パターンを押さえたうえで、実際の塗装シーンに応じた色選びをする。
そうすることで、「なぜその色なのか」を説明できる、意味のある配色ができるようになります。
難しく考える必要はありませんが、少しだけ意識して選ぶことで、空間はより快適に、自分らしく変化してくれるはずです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!